『真実 新聞が警察に跪いた日』 高田昌幸 著
行きつけの喫茶店で、
よく読むのがサンデー毎日。
いつも目を通すいくつかの連載の一つ、
青木理さんの『抵抗の拠点から』で、
この本が紹介されていました。
この手の本は滅多に読むことがない私ですが、
青木さんの紹介が興味深かったので読んでみることにしました。
本の内容は、
北海道警察の裏金疑惑を
約1年半かけて追求し続けた北海道新聞と、
組織的な裏金づくりが露呈した北海道警察との対立の記録。
しかも著者は、バリバリの当事者。
裏金の取材当時は取材班の代表で、
その後の対立でも渦中にいた人です。
タイトルや内容からすると、
かなり読みにくそうな印象を受けますよね。
私も正直「どうかなぁ」という懸念がありましたが、
実際に読んでみると、
ページをめくる手を止めたくないぐらいに引き込まれました。
著者の文章力の成せる技です。
ノンフィクションだということを忘れるぐらい、
まるで良く出来た小説を読む様に、
一気に読み進められました。
「これが現実か?」というぐらい
本当にえげつない話です。
作中、ある報道マンが著者に語った言葉が印象的でした。
組織だもの、そりゃ、いろんなことはある。
悪党もいりゃ、いいやつもいる。
無駄メシばっかり食うやつもいる。
騙し騙され、でな。
おれなんか、そんな世界いっぱい見てきたからな。
でもさ、大事なことはあきらめないこと、
それと仲間を増やすこと。
多勢に無勢では、いくら正しいことであっても通らんぞ。
逆に言えば、多数が味方になっていれば
組織的な悪事は簡単、ってことだな。
ただし、正論が通らん組織は、
しょせん組織ごっこみたいなもんだ。
組織が大事なのではなくて、
組織として何をやるか、
社会の役に立つように何をやるか、だ。
組織ごっこしかできない組織は、
まあ、自分たちはそれでいいわな。
でも、社会にとっては不幸なことだな。
斉藤和義さんの名曲
『空に星が綺麗』の歌詞を思い出しました。
口笛吹いて歩こう 肩落としてる友よ
誰も悪くはないさ きっとそういうもんさ
口笛吹いて歩こう 空には星が綺麗
組織に染まり過ぎると、
その中にいる自分が一体何をしているのかが見えなくなってしまう。
そして、組織がどこを向いて進んでいるのかも。
そんなことも思いました。
興味を持たれた方は、
手に取ってみてください。
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